好きな女はゲシュタルト
1.導入
みなさんはゲシュタルトという言葉をご存じでしょうか。ゲシュタルト崩壊という言葉は幾分人口に膾炙した感がありますが、正確な意味をご存じない方もそこそこいらっしゃるのではないでしょうか。
今日はそのゲシュタルトと好きな女性(筆者は男性のため)との共通点を見つけたので書いて置きます。
2.赤い家の意味は?
コトバンクを見てみますと
部分からは導くことのできない、一つのまとまった、有機的・具体的な全体性のある構造をもったもの。(ゲシュタルトとは - コトバンク (kotobank.jp))
とあります。
こんな例を考えてみて下さい。
①赤い家
もし、言葉の意味が各要素の足し算で分かるのなら、①の意味は赤い+家となるでしょう。
しかし、①のデフォルトの解釈としては赤いのは屋根であることを想像される方が多いのではないでしょうか。
あれれ~、おかしいぞ~、①が「赤い+家」の足し算だとしたら、赤い部分が屋根であることを指定する要素はどこにあるんだ~?という感じで、「赤い家」という言葉の意味を赤い+家という足し算で導き出そうとすると、ちょっと怪しくなるわけです。
そこで、「赤い家」は全体として、その部分に還元できない意味を持っていると考えることができるわけですね。
(ゲシュタルトの例は仮現運動とかが言及される場合が多い気がしますが、筆者が認知言語学をやっていたという都合でこの例になりました。)
ポイントは部分に還元できない全体ということですね。
3.なんで彼女が好きなの?
恋人の推しポイントが明確な人もいるかもしれませんが、よくわからんけど好きなんだとか、いや好きなことに理由なんてないねとか、思う人もいるんじゃないでしょうか。例えば、恋人の顔が好きとか、匂いが好きとか、優しいところが好きとか、色々あるでしょうが、敢えて「好きな理由はそれだけ?」と問いかけられたら、「いやこれだけじゃない」と言ってしまいたくならないでしょうか。
好きな理由を言い尽くすことはできない、好きだから好きなんだ
こういった特性はまさしくゲシュタルト(部分に還元できない全体)だと思います。これは別に恋人に限った話ではなくて、好きなものの中には好きな理由を言い尽くすことが難しいものが結構あるんじゃないかと思います。あるいは好きな理由がよくわからないとか。
最近は還元的な思考に結構需要があるようですが、言い尽くせない、という性質を持ったものは自分が大切にしたいものだったりするのではないかと思っています。