檸檬の無為な日々

思考の外部ストレージです。

グレーゾーンについて(表現の自由と誹謗中傷)

 1.導入

 少し前、SNSでの誹謗中傷が原因で自殺された方がニュースで取り上げられていましたね。そこでSNS上の誹謗中傷を取り締まるか、表現の自由との線引きをどうするかみたいな議論があった気がしますが、持論を書いて置こうと思います。

 ポイントはグレーゾーンの線引きより重要なことがある、ということです。

2.問題はグレーゾーンか?

 この手の問題でもめるのはグレーゾーンの線引きでしょうね。この事例は白か黒か。その理由、基準は何か。これはこれで法の実務的な問題として解決されなければならないというのは分かるんですけど、この問題は結局、個別の事例の議論を積み重ねていくしかないのではないかという気がしています。(法学を勉強したことがないのでよく分かりませんが)

 ただ、グレーゾーンの線引きをどうするかというのは、一番重要な問題ではないのでは?と思っています。最優先すべきは、明らかに黒い事例を取り締まれるような手続きを整備することなのではないかと思います。

3.色のメタファー

 法律の線引きに色のメタファーを使うのが適切かどうかというのは、判断しかねるのですが、ひとまずそれはおいておいて下さい。

 色というのは光のスペクトルで、連続体をなしています。つまり、どこからが黒でどこからが白かという区別をしようとすると、それは究極的には根拠を持たない恣意的な線引きになってしまいます。しかし、これは黒と白という領域の区別が存在しなくなることを意味しません。

 敢えていうなら、「明らかに黒」「これは白か黒か微妙だねという判断できる領域」「明らかに白」という領域に分かれると思います。この「どっちか分からないという判断ができる」というのがグレーゾーンにあたります。

 このグレーゾーンの線引きをどうするかというのは、先ほども書いたように、個々の事例ごとに議論を尽くして、それを積み重ねるということをする以上のことはないと思いますが、線引きが曖昧だからと言う理由で、「明らかに黒」に分類されるような事例を取り締まれないというのは、おかしな話だというのが私のお気持ちです。

 例えば「こいつの話、意味分からんwww」はグレーゾーンかと思いますが、「ゴミ、くず、死んでしまえ」はさすがに黒というイメージですね。グレーゾーンを最大限広く見積もっても、明らかに黒い領域は存在するでしょう。(もちろん、文脈にも依るんですけど)グレーゾーンは最大限広く見積もっておくというのもポイントかと思います。